日本人なら一度は登ってみたいと憧れる、日本一の高さを誇る「富士山」。
「富士山に登る」と決めたら、あれやこれやとネット検索するかと思います。
そんな中で「富士山ツアー」で検索すると必ずヒットする「サンシャインツアー」という旅行会社があります。
今回は、富士山の基礎知識+サンシャインツアーの内容と参加した感想をリアルにお伝えいしていきたいと思います。
この記事で分かること
富士山基礎知識
富士山は静岡県と山梨県をまたいでそびえ立つ、高さ3776mの日本一の山です。
また、ユネスコ世界遺産委員会によって「信仰の対象と芸術の源泉」として2013年に世界文化遺産に登録されました。
富士山の山頂は三角形のように尖っているわけではなく、クレーターのようになっており、その周囲を回ることもできます(お鉢巡り)。
登山ルート
富士山には登山ルートが4つあります。
どのルートも、五合目から登るのが一般的です。
ルート | スタート地点 | 五合目標高 | 山小屋数 | 所要時間 |
---|---|---|---|---|
吉田ルート | 富士スバルライン五合目 | 2,305m | 16 | 約10時間 |
富士宮ルート | 富士宮口五合目 | 2,400m | 8 | 約7時間 |
御殿場ルート | 御殿場口新五合目 | 1,440m | 6 | 約12時間 |
須走ルート | 須走口五合目 | 2,000m | 12 | 約8時間 |
途中の山小屋の数が多いので、初めて富士山に登る人は吉田ルートから始める人が多いです。
登山できる時期
富士山に登る場合は開山期間があり、ルートによってカレンダーが異なります。
冬の富士山は険しい雪道と寒さで登山は困難なので、山に入れるのは夏の約2か月ちょっとの間のみになります。
ルート | 入口のある県 | 開山日 | 閉山日 |
---|---|---|---|
吉田ルート | 山梨 | 7月1日 | 9月上旬 |
富士宮ルート | 静岡 | 7月10日 | 9月上旬 |
御殿場ルート | 静岡 | 7月10日 | 9月上旬 |
須走ルート | 静岡 | 7月10日 | 9月上旬 |
土日やお盆は混雑しますので、できれば平日に行くのがおすすめです。
気温
五合目と山頂との気温差が大きく、山頂では夏でも真冬並み(0℃以下)の気温となります。
標高差100m毎に、約-0.6℃下がります
また、同じ気温でも風が強い日は体感温度が下がり、とても寒く感じられます。
風速1m毎に約、約-1.0℃体感温度が下がります。
山の天気は崩れやすく、雨で濡れて低体温症になる危険性もありますので、防寒具・雨具はしっかりと準備していきましょう。
登山の服装と持ち物
出発前に必ず装備と持ち物のチェックをしておきましょう。
装備はレンタルすると10,000円前後くらいかかります。
天気によっては帽子やサングラスはいらない場合もありますが、紫外線が地上より強いので気になる人は身につけましょう。
シャツやズボンは動きやすい素材のものを選ぶこと!ジーンズは重たいのでダメ。
山道は整備されていると言っても、急な岩壁を上ったり、土埃の立つ道を歩くことになります。
怪我を防ぐためにも手袋と、靴底の厚いハイカットの靴を身につけるのがベストです。
リュックサックは詰め込み過ぎに要注意、40L前後のもので十分です。
トレッキングポールは私は使用しませんでしたが、登りよりも下りの時にあったらよかったかなと感じました。
ご来光を拝むために、真っ暗な夜の山道を登ることになるので、ヘッドライトは必須アイテムです。
レインウェア・防寒着は、低体温症を防ぐためにも必ず持っていきましょう。
登山はエネルギーをとても消費するので、チョコレートや栄養食などをいくつか持っていると便利です。
飲み物は途中の山小屋で購入できますが、十分な水分補給ができるように備えておきましょう。
また、途中の山小屋での飲料水の購入や、トイレのチップ用に小銭を用意しておいてください。
以下の記事では、実際に購入してよかったものをまとめていますので、よろしければご参考まで。
サンシャインツアーとは
「サンシャインツアー」とは、高速バスや電車を利用した日帰り・宿泊の格安ツアーを主催する旅行会社のことです。
特に富士山登山のツアーは豊富に取り揃えており、バラエティ豊かなラインナップが魅力です。
ツアーの選び方
数あるツアーから自分に合うツアーが分からない時は、以下の項目を比較して選んでみてください。
バス・電車・飛行機から移動手段を選ぶことができるので、日程や予算に合わせてツアーをチョイスすることができます。
もちろん、ガイドさんなしのツアーや、山小屋のみの予約、登山装備のレンタルの有無も自由に選ぶことができます。
ツアー体験レポート
ここからは、私が実際に参加したツアーの内容を詳しくお伝えします。
参加したツアーは、
夜発3日間 吉田ルート登山 富士山専任ガイド同行プラン ¥28,800〜
途中休まないと登頂は無理だと踏んでいたので、山小屋で宿泊できるコースです。
普段はデスクワークで運動不足の夫婦2人(30代後半)で、9月に参加してきました!
スケジュールは、ざっくりとこんな感じでした。
日次 | スケジュール | 食事 |
---|---|---|
1日目 | 関西発バス(23:30)=(車中泊) | [ × ] [ × ] [ × ] |
2日目 | 花の湯にて入浴・朝食(OP) 富士山五合目(吉田口)(9:00頃着) 五合目より登山開始(12:00頃) ーガイドと登山(約7時間) 八合目以上の山小屋 (夕食・仮眠) | [OP] [昼食] [夕食] |
3日目 | 山小屋(3:00頃発) ーガイドと登山(約3時間) ご来光ーガイドの指示で下山(約3時間) 富士山五合目(吉田口)(9:00発) 花の湯(入浴/昼食) 富士山本宮浅間大社・お宮横丁 バスで帰途(19:30) | [弁当] [昼食] [ × ] |
ここからはその詳細を綴っていますので、参考にして下さいね。
1日目
1日目は深夜出発のため、ほとんどないようなものです。
バスの乗車地が分からなくて迷子になりましたが、無事見つかって乗車。
23:30 京都出発
バスは定刻に発車しました。
バスはゆっくりできるように3列シートをチョイス!!
が。隣の男性のいびきがうるさすぎてほぼ一睡もできませんでした…。
一緒に乗り合わせる人は「運」としか言いようがありません。
スタートが最悪すぎ(笑)
どうやら、イヤホンは必須アイテムだったようです。
2日目
眠れない夜を過ごして約7時間、お風呂に到着!
7:00 花の湯にてお風呂
花の湯ではお風呂と朝食のオプションが選べたのですが、お風呂のみにしていました。
帰りのお風呂はタオルがついていますが、オプションのお風呂はついていなかったのでタオルを購入。
今日の夜はお風呂に入れないので、ゆっくりとお風呂につかります。
購買で売っていたパンを買って食べたら、バスに再び戻り、富士山へGOです。
9:00 富士スバルライン五合目到着
五合目に到着したら、いったん解散になります。
装備をレンタルしている人は、別途案内があります。
薄い霧がかっていて、天気はイマイチですが、かろうじてまだ雨は降っていません。
集合時間まで割と余裕があるので、ロッカールームで着替えと準備をします。
準備が終わったら、昼食をいただきます。
けっこうガッツリ系のお弁当に、小さいうどんがついていました。
余った時間は、お土産を見たりして時間を潰します。
11:30 ガイドさんからの説明
ツアー客全員が集合して、ガイドさん2人から説明を受けます。
20名くらいの同志たちと共に、富士山に挑むことになりました。
チーム名を決めて、服装・持ち物をチェックします。
12:00 登頂スタート
天気はちょっと小雨くらいで、ついに登山がスタート。
お馬さんを横目に、富士山保全協力金1,000円をお支払い(任意です)。
記念に焼印も押せるストラップがもらえます。paypayでもOK。
いってきまーーす
心はうきうき・ドキドキ。
この看板が、始まりの合図です。
五合目→六合目
五合目から六合目は比較的傾斜も緩やかで、距離も短いのであっという間に終わります。
「こんな感じなら、余裕ですわ」と思っていたこの頃。
ヘルメットを推奨されましたが、着用してる人はほとんどいなかったので帽子のまま進みます。
六合目→七合目
六合目を過ぎたころから、少しづつ雨が強くなってきて、レインウェアを装着。
一歩ずつ、一歩ずつ、休みながらゆっくりと前へ進みます。
けっこう疲れも溜まってきて、空気が薄いから呼吸も荒くなってきます。
七合目が遠い…果てしなく遠い。
天気は悪くなる一方で、レインウェアなんて意味ないくらい土砂降り。
手袋も靴も服もびちょびちょで、体温が余計に下がっていき、足を止めると震えるくらい寒い。
雨が強すぎて、景観を楽しんだり、写真を撮る余裕なんて全くありませんでした。
とにかく天気に恵まれてなかった…
七合目→八合目
七合目にある山小屋で、命の恵をゲットします。
「1カップ500円のコーンスープ」、これほど美味しいと感じたことはありません。
唇はもう血の気すらないけど、あたたかいスープが五臓六腑に染み渡る…。
七合目から八合目の間には10件以上の山小屋があり、毎回ガイドさんが次の目標までの時間を教えてくれます。
次の山小屋を真上に望むたびに折れかけている心を、「あと少し、あと少し」と奮起させてくれます。
途中かなり足場の悪い場所もありながら、遠い遠い八合目を目指します。
この区間が吉田ルートの難所であり、リタイアする人も多いです。
19:00 山小屋で夕食
辺りはどんどん薄暗くなっていき、灯りが必要になってきた頃、この日のゴールに到着。
嬉しい…嬉しすぎてちょっと泣きそうになりました。
私達が宿泊したのは8.5合目にある「本八合目トモエ館」です。
ここで夕食と休憩をさせていただきます。
夕食は一般的にはカレーが多いらしいのですが、ここでの夕食はハンバーグ!
暖かいスープもついているし、ハンバーグはジューシーで美味しかったです。
ここで、明日の朝食のお弁当と紙パックのお茶を1つずつもらえます。
山小屋レストランでは、ラーメンやうどんを注文することもできます。
しかし、ハンバーグでお腹も胸もいっぱいで食べられず、ホットココアだけいただきました。
夕食後は、翌日の出発時間についてガイドさんと計画を立てます。
お鉢巡りをする場合は、ガイドさんなしで早めに出発することになる、とのこと。
せっかくここまで来たのでお鉢巡りをしたかったのですが、体力的に厳しいと判断して、お鉢巡りは断念しました。
コンセントの数に限りはありますが、スマホの充電もできます。
21:00 就寝
寝るために軽い服に着替えようとリュックを開けると、中までしっとりと濡れていて、タオルも意味をなさない状態。
びちょびちょの服を干すところはありませんが、少しだけ布団の上にものを掛けられる場所があったので、服をかけておくことができました。
お風呂に入りたい…お疲れモードで、空気の薄い中、就寝。
しばらくすると、隣から「はぁ、はぁ…」と、やけに荒い呼吸の音。
そう、旦那様は高山病になってしまったのです!
山小屋はただでさえ空気が薄いのにもかかわらず、コロナを気にしてマスクをしたまま寝てしまったのがいけなかったみたいです。
ガイドさんも眠ってしまって酸素吸入も使えないので、外に出てなんとか呼吸を整えます。
「明日の登頂は厳しいからリタイアだな」
そう思いながら結局この日も、ほとんど眠れない夜を過ごすのでした。
3日目
早朝、旦那様の体調は少し回復していましたが、まだ少し辛そうにしていました。
でも、本人は登るつもりのようです。
ガイドさんに高山病になったことを伝えると、意外な言葉が返ってきました。
「空気の薄さは慣れてくる。ここまで来て登頂しなかった人なんていないから、大丈夫!」
…まじか。
リタイアすることを考えていたので、旦那様より私の方がなんかショック。
と、いうわけで、登山再びスタートです!
3:00 出発
ご来光を見るために、まだ暗闇の中ヘッドライトの灯を頼りにゆっくり登山開始。
相変わらず天気は悪く、心なしか昨日より混雑していました。
もらっていた朝食のお弁当は、出発前に食べるか、山頂で食べるかどちらになります。
私たちは山頂で食べたかったので、食べずに出発。
山小屋→山頂
山小屋から山頂への道は、思っていたよりずっと辛くて過酷なものでした。
富士山の「合目」は距離ではなく、難易度を表していると痛感します。
進んでも進んでも、ずっと同じ暗い道。
途中何度も「もう無理」と諦めかけながらも、ガイドさんに励まされながら歩き続けます。
この間は休憩できるスポットや山小屋が一切ないので、ノンストップ。
「止まりたい」「帰りたい」「つらい」そう思いながらも、ひたすら登ります。
最後の最後の傾斜を登ると、白い鳥居が見えてきます(写真を撮る余裕もなし)。
17:00 登頂
そしてついに、登頂!
やったぁぁあーーー!!
しかし、雨が降っているのにプラスして、火山ガスが充満。
このままだとご来光は見られないけど、早めに下山すればもしかしたら見られるかもしれない。
ということで、感動する間もなく、下山の道へ進むことになりました。
山頂でお弁当を食べる夢は、儚く消え去りました(笑)。
17:20 ご来光
少し下りたところで、日が登ってきました。
かすかではありますが、無事ご来光を望むことができました。
ガイドさん、ありがとう!!!!!!
途中、ガイドさんからお知らせがありました。
「関西組はバスの出発時間が早いので、ここからは先に下山してください。」
「関東組は、朝食を取る人は取り、少し休憩してから向かいます。」
なんと。
なぜ、そんな悲しいことを?
私たちも、お弁当休憩したいですが?
「なぜ、私は関西に住んでいるのだ」そう思った瞬間でした。
ここで、ガイドさんとはお別れとなります。
下山
ここからは、時間との勝負でした。
二人だけで、バスの時間に間に合うように下山しなければならなかったのです。
下山は傾斜が急なところも多く、足がもつれることもしばしば。
私は2回、尻からコケました。
この下山が、登山よりも数倍しんどかったです。
足の裏、ふくらはぎ、太もも、全ての筋肉を使うので、負担がやばい。
そして、どこまでも先の見えない下に伸びていく道を、自分の足で歩かなければならないことが、何よりも辛かったのです。
魂が抜けたようにトボトボと、たまに休憩と軽食を取りながら一歩一歩、確実に前へ進みます。
8:30 富士スバルラインに帰還
そして、ついに帰ってきた五合目。
バスにも無事、間に合いました。
とりあえず、このぐっしょり濡れた装備をなんとかしたくて着替えます。
服は手持ちのものでなんとかなりましたが、靴はさすがにベトベト。
履き替える靴も持ってきていなかったので、お土産屋さんでビーチサンダルを1,000円で購入。
行きは「誰がビーサンなんか買うんだろ?」と思っていましたが、自分が買うことになるとは…。
9:00 バス出発
晴れて、足元もスッキリ快適になったのでバスへ向かいます。
お世話になったガイドさんも無事下山してきていたので、お礼を言ってお別れしました。
疲れ果てていたので、お隣さんのいびきを気にする間もなく、秒で眠りにつくことができました。
11:00 花の湯でお風呂と昼食ビュッフェ
眠っていたので、あっという間に花の湯に到着。
お風呂に入って、さっぱり生き返ります。最高。
昼食はビュッフェスタイルで、定番の唐揚げ・カレーなどの品揃え。
お酒を注文することもできますよ。
13:00 富士山本宮浅間大社・お宮横丁
花の湯を出発して、また眠りについて気持ちよかったところで、浅間大社に到着。
正直、バス降りるのもしんどいのですが、頑張ってお礼参りをします。
浅間大社からは、さっきまでいた富士山をみることができます。
あのてっぺんまで登ったなんて…信じられないのと同時に、再び感動がよみがえります。
バスの中で、アイスクリーム屋さんのクーポンを貰えます。
せっかくなので、富士山アイスをいただきました。
バス降りるのしんどいとか言っておきながら、しっかり楽しんでバスに戻ります。
帰りのバスは、爆睡。
19:30 京都駅着
ついに、帰ってきました〜!
「サンシャインツアー」これにて終了です。
帰宅後
帰宅後3日間は、足が痛すぎて歩けませんでした。
筋肉痛に耐えること1週間、ようやく普段の生活に戻ることができました。
仕事辞めててよかった。
まとめ
富士山の登山ツアーは過酷ではありましたが、大変思い出深いものとなりました。
途中ガイドさんがたくさん励ましてくれたおかげで、こんな私でも登頂することができました。
おそらく、自分たちだけだったら登頂できなかったと思います。
「サンシャインツアー」に参加したおかげです!!
ありがとう!
登山もですが、ガイドさんのいない下山が何よりも辛くて本当泣きそうでした。
私はもともと運動苦手なのに加えて、天気に恵まれなかったのもあって、ズタボロでした。
「よく頑張った」と、自分にたくさんご褒美をあげて、大満足の富士山登山になりました。
日本一の富士山、なめちゃダメ、絶対。
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