「遺伝子検査を受けたら、VUSという結果が出た」
「VUSって、がんになりやすい遺伝子なの?」
「家族にも遺伝するの?」
遺伝子検査の結果を見て、こんな疑問を持つ人もいるかもしれません。
私自身、卵巣がんの遺伝子検査を受けたところ、CHEK2という遺伝子にVUS(意義不明変異)が見つかりました。
「病的な遺伝子変異はありませんでした」と聞いて安心した直後にVUSが見つかり、

……VUSって何?
と、ちょっとモヤっとしたのが正直なところです(笑)。
この記事では、
を、できるだけ分かりやすくまとめました。
この記事は遺伝子検査を受けた個人の体験をもとにした解説です。
実際の検査結果の解釈や今後の対応は、遺伝カウンセラーや主治医に確認してください。
VUSとは?

VUSは、Variant of Uncertain Significanceの略です。
日本語では、「意義不明変異」などと呼ばれます。
簡単にいうと、
遺伝子に変化は見つかったけれど、それが病気と関係するものなのか、まだ判断できない
という状態です。
遺伝子には、一人ひとり少しずつ違いがあります。
その中には、病気の原因になる変化もあれば、健康に影響しない個人差のような変化もあります。
ところが、まだ研究やデータが十分ではなく、
「これは病気の原因になる変化なのか?」
「たまたま存在する個人差なのか?」
と、判断できないものがあります。
それがVUSなのです。
NCI(米国国立がん研究所)も、VUSについて「健康への影響が不明なDNA配列の変化」であり、がんなどの病気のリスクを高めるかどうか判断するには十分な情報がないことが多いと説明しています。
VUS=悪い遺伝子ではありません
ここが一番大切なポイントです。
VUSが見つかったからといって、「悪い遺伝子が見つかった」という意味ではありません。
例えば、遺伝子検査の結果では、以下のように分類されます。
| 遺伝子の分類 | 英語 | 意義 |
|---|---|---|
| 病的 | Pathogenic | 病気との関連を示す十分な根拠がある |
| 病的の可能性が高い | Likely Pathogenic | 病気を引き起こす可能性が高い |
| 意義不明 | VUS | 病気との関連があるのか、まだ判断できない |
| 良性の可能性が高い | Likely Benign | 病気に関係しない(無害)可能性が高い |
| 良性 | Benign | 病気に関係しない(無害)十分な根拠がある |
このうちVUSは、「まだ分からない」という位置づけです。
「病的」と判断されたわけではありません。
そのため、「VUSがあった=その遺伝子が原因で病気になった」ということではありません。
VUSが見つかったら、治療や検査は変わる?

基本的には、VUSだけを根拠に治療や予防の方針を変更することはありません。
NCIも、VUSは通常、がんリスクを判断する材料として扱わず、健康管理上の意思決定には用いないと説明しています。。
例えば、
「VUSが見つかったから、がんになるかもしれない」
と考えて、自己判断で特別な治療を始めたり、予防のための大きな処置をしたりすることはありません。
必要な検査や経過観察については、本人の病歴・家族歴・現在の健康状態などを合わせて判断します。
そのため、VUSが出た場合こそ、遺伝カウンセリングなどで結果の意味を確認することが大切です。
VUSは将来、結果が変わることがある

VUSのちょっとややこしいところがここです。
「今は分からない」のであって、「永遠に分からない」と決まっているわけではありません。
研究が進んだり、同じ遺伝子変化を持つ人のデータが増えたりすることで、その変化が病気と関係するのかどうかについて新しい情報が得られることがあります。
その結果、
VUS が良性あるいは、病的など、分類が変更される可能性があります。
なので、「VUSだから、将来きっと病的になる」という意味ではありません。
むしろ、
今はまだ判断できないので、今後の研究によって評価が変わる可能性がある
と考えるのが近いです。
ですが、VUSが病的変異に変わる可能性もまた、ゼロではありません。
VUSは、現在の情報では分類できないものです。
そのため、新しい研究結果やデータが蓄積されることで、後から「良性だった」と判断されるケースもあります。
実際、NCIはVUSの多くが最終的に良性へ再分類されると説明しています。
VUSは家族にも遺伝するの?

ここも気になりますよね。
結論からいうと、
VUSが見つかったからといって、家族が「がんになりやすい遺伝子」を受け継いだと判断することはできません。
そもそもVUSは、病気との関係が分かっていない変化です。
そのため、
「VUSがあるから、子どもにも検査を受けさせなければ」
と、VUSだけを理由に考えるものではありません。
家族への検査が必要かどうかは、遺伝子の種類や具体的な変異、家族歴などによって変わります。
気になる場合は、遺伝カウンセラーや主治医に相談しましょう。
私の場合はCHEK2にVUSが見つかりました
ここからは私自身の体験です。
卵巣がんになったことをきっかけに、71遺伝子を調べる遺伝子検査を受けました。
私が一番気になっていたのは、BRCA1・BRCA2という遺伝子です。
父に男性乳がんの既往歴があり、私自身も40代前半で卵巣がんになったため、
「もしかしたらBRCAに何かあるのでは?」
と思っていました。
そして、娘への遺伝も心配していました。
ところが、
BRCA1・BRCA2を含め、明らかに疾患と関連する病的バリアントは見つからない
という、うれしい結果でした。
一方で、結果報告書を見ると、
CHEK2遺伝子に、 c.886G>T(p.Asp296Tyr)というVUSがひとつ見つかっていました。
分類は、「Uncertain Significance」でした。
つまり、
CHEK2に変化はあるけれど、この変化が病気の原因なのかは現時点では分かりません
ということだったのです。
現在のところ、私に見つかったCHEK2のVUSが病的なものなのかどうかは分かっていません。
「CHEK2のVUSって何なの?」
と、気になって調べてみると、VUSは「病的変異」とは違います。
つまり、「病気の原因が見つかった」わけではない。
ただ、
「今は分からないだけなんだよね?」
「将来、何か分かることがあるのかな?」
というモヤモヤは残りました(笑)。
「このVUSがこれが卵巣がんの原因だったのでは?」
と思いたくなる気持ちもあります。
でも、現時点ではそう判断できません。
CHEK2については、病的バリアントと乳がんなどとの関連が知られていますが、私に見つかったものはVUSです。
また、今回のVUSが卵巣がんの原因だったという証拠もありません。
なので、今のところは、「卵巣がんの原因は分からない」というのが、遺伝子検査の結果なのです。
将来、研究が進んだらどうなる?
私が個人的に気になっているのは、
「今後、私のように卵巣がんになった人で、同じCHEK2の変化を持っている人のデータが増えたらどうなるんだろう?」
ということ。
もし研究が進んで、
「この変化を持っている人には、特定の病気が多い」
ということが分かれば、将来的にVUSの分類が変わる可能性もあります。
ただし、これはあくまで可能性の話なので、今は「現時点では意義不明」として受け止めています。
VUSが見つかったら、どうすればいい?
もし遺伝子検査でVUSが見つかったら、まずは慌てないこと。
そして、次のようなことを確認しておくとよいと思います。
① VUSがどの遺伝子にあるのか確認する
「VUS」という結果だけではなく、どの遺伝子の、どの変化なのかを確認しましょう。
② そのVUSが病気と関係すると分かっているのか確認する
そのVUSはが病気の原因となるものか、現在の医学での評価を遺伝カウンセラーや主治医に確認しましょう。
③ VUSを理由に自己判断しない
「がんになりやすいってこと?」と不安になってしまうかもしれません。
でも、VUSだけを理由に治療や検査を変更するのではなく、家族歴や本人の病歴などを含めて判断することが重要です。
④ 今後、分類が変わる可能性について聞いておく
「もし今後、VUSの分類が変わったら連絡してもらえますか?」
ということも、検査を受けた医療機関や検査会社に確認しておくと安心です。
NCIも、VUSの結果を受けた場合は、新しい情報が出たときに知らせてもらえるよう、検査を行った医療提供者との連絡を保つことが重要だとしています。
VUSが出たら、ずっと不安にならないといけない?
そんなことはありません。
VUSという言葉を見ると、「何か怖いものが見つかった」と思ってしまいがちです。
でも、VUSの意味は、「悪いと分かった」ではなく、「まだ分からない」です。
ここを覚えておくと、少し気持ちが楽になると思います。
そして、今後研究が進むことで、良性と判断される可能性もあります。
遺伝子検査を受ける前に知っておきたかったこと
私自身、遺伝子検査を受ける前は、
「検査をすれば、遺伝しているかどうかがはっきり分かる」
と思っていました。
でも実際には、病的変異・陰性・VUSなど、いろいろな結果があります。
そしてVUSのように、今の医学ではまだ答えが出せないという結果もある。
これは、遺伝子検査を受ける前に知っておきたかったことのひとつです。
だから、これから遺伝子検査を受ける人には、
「VUSという結果が出ることもある」
ということを、あらかじめ知っておいてほしいと思います。
VUSが見つかっても、必要以上に怖がらなくて大丈夫

VUSは、病気との関係がまだ分からない遺伝子の変化です。
大切なのは、
VUS=病的変異ではない
VUS=将来必ず病的になるわけではない
ということ。
研究が進めば、将来的に良性・病的などへ再分類される可能性があります。
だからこそ、今の結果だけで必要以上に不安にならず、分からないことは遺伝カウンセラーや主治医に相談することが大切です。
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まとめ
VUSについて、最後にポイントをまとめます。
遺伝子検査は、「病気の原因がある・ない」をいつでもきれいに白黒つけられる検査ではありません。
「今の医学で分かっていること」と「まだ分からないこと」を知る検査でもある。
私自身、今回VUSを経験して、そのことを実感しました。
参考文献・参考サイト
・国立がん研究センター「がん情報サービス」
https://ganjoho.jp/public/index.html
・日本遺伝性乳癌卵巣癌総合診療制度機構(JOHBOC)
https://johboc.jp/
・NCI(米国国立がん研究所)
https://www.cancer.gov/
・ACMG(米国臨床遺伝・ゲノム学会)
https://www.acmg.net/
・遺伝子検査キットchatGENE
https://chatgene.jp/


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